2012年7月31日火曜日

サビタの記憶

北海道が舞台の多くの作品を残した原田康子。
中でも釧路が舞台の「挽歌」は良く知られているが、「サビタの記憶」は「挽歌」の2年前に出版され、伊藤整の高い評価を得ている。

人気作家となっても北海道を離れず、2009年10月に肺炎で亡くなった。
40年も前、宮の森にお住まいの頃、1度だけお目にかかったことがある。
宮尾登美子とともに好きな作家の一人である。

作品の中で「サビタの花」に触れた一節がある。
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比田さんは、小さな薄黄色い花をいっぱいつけた、低い灌木の小枝を折った。
花はいい匂いがした。私は比田さんの手から小枝を取った。
「なんて花?」
「サビタ」
と、比田さんは答えた。タともテとつかない発音をした。・・・・ >


サビタの花  ノリウツギとも云う。